平成20年6月25日発行 通巻115号
NPOリレーインタビュー
がんばれネットワーク
三重県男女共同参画・NPO室が発行する市民活動・ボランティアニュース2008年7月号掲載の大野木博久(おおのき・ひろひさ)さんのインタビューです。
三重県内の市民活動団体の人をリレーで紹介していきます。但し、紹介するに当たってはルールがあります。1・同じ地域で無いこと。2・同じ活動分野で無いこと。さてどんな人がどんなふうに、つながっているのでしょう。定年退職後、オーストラリアに語学留学したホームステイ・イン津実行委員会の植田さんから、大野木博久さんにバトンタッチ。大野木さんはハンディキャップを持つ人々と一緒に小型ヨットを楽しんでいます。

海で遊ぶ人を増やしていきたいです。
NPO法人海の達人
大野木博久さんに聞く





海の楽しさを伝える、海の達人


……海の達人の活動内容は?
マリンスポーツの普及や海の安全啓蒙活動、各種マリンスポーツの体験、イベントの企画・運営などを津市河芸町のマリーナ河芸を拠点に行っています。また活動の一環として、ハンディを持つ人のセーリングをサポートするセーラビリティ河芸を運営しています。
……活動を始めたきっかけは?
セーラビリティは身体障がい者のためのセーリング支援活動としてイギリスで始まりました。三重県で一番最初に取り組んだのが「セーラビリティ伊勢」。私は海に関連した仕事をしていることと、伊勢に居住していることもあり、そちらの活動を前々からサポートしていました。
……海に関連したお仕事とは?
中部地区を中心にマリン関連商品、モーターサイクルなどの販売などを行っている会社に勤めています。会社がマリーナ河芸の筆頭株主で、私はそこの社員としてマリーナ河芸の経営に携わっています。
……大野木さんがセーラビリティ伊勢をサポートしていた理由は?
マリーナの仕事をしていますから、海で楽しんでいる人は応援しますよ。それに、ハンディのある人が元気にやっているのを見ると、なんだかんだとサポートしたくなるじゃないですか(笑)。
……仕事面からも、海のバリアフリーに取り組んでいる?
会社自体が、海のバリアフリーに取り組んでいます。マリーナ河芸の入口は車椅子でも入れるようにスロープが作られていますし、数年前には助成を得て、海面近くまで車椅子で降りることができる、バリアフリー桟橋を設置しました。バリアフリーのマリーナってあるようでないのです。このような設備投資は、個人の思い入れだけでは難しいでしょう。
……河芸で活動を始めたのは?
手伝ううちに「河芸でも活動をしてはどうか」と言われたのですが、どうせなら、様々な面から海に関わった活動にして、思いきったアピールをしたいと思い、海の達人を設立しました。最初に取り組んだのは海のバリアフリーまつり。2006年の8月に初めて開催し、昨年も行いました。ハンディキャップのある人も、無い人も関係なく、海を楽しんで欲しいと思って企画しました。
……どんな内容ですか?
アクセスディンギーやバリアフリー教習艇などの体験のほか、元気に活動する障がい者のみなさんによる海のばりふり座談会、作業所の展示即売会・各種パネル展などを行います。セーラビリティ伊勢・津・河芸のメンバーにはアクセスディンギーの体験乗船のお手伝いをしてもらっています。マリーナやマリンスポーツというとどうも敷居の高い、お金持ちの遊びのようなイメージがあるようですが、実際はそんなことはありません。ですから、その敷居を下げる目的と、ハンディがあっても元気にディンギーを楽しんでいるメンバーをたくさんの人に見てもらいたいという気持ちから、このまつりを考えました。
……体験乗船やイベント以外の活動は?
小中学生向けに行っている海のミニ運動会は楽しいですよ。カヤックやアクセスディンギーなど小型艇を操って、綱引きやパン食い競争などをおこないます。このほか、要請があれば、いろんな所へ出向いて海に関する話をしているのですが、その講師を登録制にしています。マスター登録と言うのですが、海の達人たち、なかでも年輩の方が持っている知識や技量を、あとに引き継がずに埋もれさせてしまうのはもったいないでしょう?そんな達人に登録してもらい、依頼内容にあった話ができる方を派遣しています。
……どんなお話しをするのですか?
この前は岐阜県の中学生に海の環境についてお話ししました。伊勢湾と木曽三川の関係ですね。仙台のカキ養殖業者さんが海をキレイにするために植林をしている話は有名ですが、三重県の漁師さんも木曽で植林をしています。海の恵みは山から来ていることは知られるようになってきましたが、海が世界中の酸素の三分の二を作り出していることは、意外に知らない人が多いですね。汚染された海では光合成ができませんから、汚い水を流さないようして欲しいという話をしました。また、海は楽しいだけでなく、危険も伴っている場所だからこそ、ルールを知ってもらい、マナー向上を目指すためのお話しもよくさせてもらいます。
……大人対象に話をすることは?
ボートオーナー向けに航海計器の勉強会や、漁師さんとのトラブルを避けるために具体的なマナーについてお話しすることがあります。海の上で漁船と出会った時の対処の仕方ですね。例えば二艘ひきで網を引いている時は、二艘の船にすごい負荷がかかっています。だから、その真ん中を絶対に通ってはいけません。
……具体的な対処法は、知られていないのですか?
ボートの免許講習などでは教えませんね。このようなマナーを伝えるのも、海に関わる人間の仕事でしょう。
……現在、海の達人のメンバー数は?
発足時は4人でしたが、今は33人くらいまで増えました。マスター登録者は15人。中にはご夫婦で長野から三重に移住されて、子どもたちの指導をしてくださっている方もいます。海に関する得意分野を持つ方にたくさん登録していただいて、活動をサポートして欲しいですね。
アクセスディンギー。二人乗りの小型ヨット。転覆が少ないので初心者でも安心して乗れます。

ハンディなんて関係ない!ヨットを楽しむ

……セーラビリティ河芸の活動日は?
第2、4土曜日です。メンバーは主に、愛知県にある知的障害の施設、AJU自立の家のメンバーです。練習日以外でも連絡をいただければ、試乗できますから、気軽に連絡して欲しいですね。
……AJU自立の家のメンバーとは、セーラビリティ活動で知り合ったのですか?
それ以前に、「海に遊びに来ませんか?」とお誘いしたのがきっかけです。この時にアクセスディンギーに乗ってもらいました。その後、ボートオーナーで車椅子使用者でもある方が、アクセスディンギーを2艇、AJUに寄附されて、マリーナ河芸で保管しています。私たちの方も助成金でアクセスディンギーを購入し、AJU所有の物と合わせて5艇、利用できます。
……ハンディキャップの種類によっては、乗ることが難しいのではないですか?
アクセスディンギーは二人一組で乗りますから、基本的にはどんなハンディを持った方も乗船してもらえます。レバーとロープ1本で操作しますから、一日で操作できるようになりますし、慣れれば片手でも大丈夫。メンバーの中に、脳梗塞で体の半分の自由が利かない方もいますが、彼は片手で操船しますよ。それにアクセスディンギーは100%とは言い切れませんが、基本的に転覆しない構造になっています。船底の部分に重りが入っていて、それで復元力を保っているのです。
……活動場所は?
マリーナ河芸内です。外の海に出なくても広さは十分ですし、目も行き届きます。サポート用のボートもありますから、風でディンギーがくっついてしまって身動きが取れないような時も、すぐに助けにいけます。
……様々なハンディキャップに対応するにはスタッフの力量も必要だと思いますが?
緊急時に備えて心肺蘇生法などの訓練も受けています。参加者のハンディについては、申込みの時に一応、把握はするのですが、いろいろ難しい部分がありますから、ご家族や施設での参加の場合は職員さんに一緒に参加してもらっています。身近で接している人が一番、どの程度のことができるのか、ご存じですからね。それに、ハンディを持った方もそのご家族もインドアで生活することが多いと思いますので、ぜひご家族一緒に外へ出てきて欲しいと思っています。
……参加者の反応はどうですか?
知的障害を持った方でも、風やディンギーの動きに対してもの凄く反応してくれるというか、喜んでくれるんですよ。一度乗ると、たいていの方は、また乗りたいと思ってくれるようで「次、誰が乗る?」と聞くと、パッと手をあげますね。中には、降りたくないと言う人もいます。
……三重県には伊勢、河芸、津とセーラビリティが3団体ありますが、これは全国的にも珍しいのですか?
一つの県に三カ所もセーラビリティがある所は他にはないと思います。全国的にも自慢できる活動ですよ。三重県の場合、どこかのセーラビリティに所属すれば、他の地区の活動に参加することができます。例えば、普段は河芸で活動しているけれど、次の時は伊勢で乗るとか、そういうこともできます。今、三つのセーラビリティを合わせて、県単位の団体を作ろうという話も出ています。
……お話しを聞いていると、人を海へ呼んでいるように思います。
海に来てしまえば遊びはいくらでもありますが、まず海に誘う活動があまり無いでしょう?、三重県の人は親戚や友だちを辿っていけば、必ずといっていいくらい海に繋がる人がいます。海に馴染みがあるから、もっと遊びに来てくれてもいいのにと思いますね。ここでお茶や食事を楽しむだけでもいいし、セーラビリティに参加すれば、ハンディがあってもここに来れば一日過ごせることがわかってもらえるでしょう?海は危いというイメージもあるかもしれませんが、ルールを守れば大丈夫。とにかく、海で遊ぶ人を増やしていきたいです。
マリーナ河芸。食事や喫茶だけでも利用できます。


NPO法人 海の達人
510-0303 津市河芸町東千里854-3
(株)マリーナ河芸内
Tel.059-245-5001
ホームページ  http://www.wan-wan.co.jp/umi/

大野木博久さんはこの人を紹介します。
芳野正英さん
インターネットやメディアを通じた街の発展を目指す、NPOクロスポイントの事務局長です。
おねがい
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