平成20年5月25日発行 通巻114号
NPOリレーインタビュー
がんばれネットワーク
三重県男女共同参画・NPO室が発行する市民活動・ボランティアニュース2008年6月号掲載の植田賢一(うえだ・けんいち)さんのインタビューです。
三重県内の市民活動団体の人をリレーで紹介していきます。但し、紹介するに当たってはルールがあります。1・同じ地域で無いこと。2・同じ活動分野で無いこと。さてどんな人がどんなふうに、つながっているのでしょう。車椅子レクダンス普及会でボランティアをしている岩根静栄さんが紹介してくれたのは、ホームステイ・イン津実行委員会の植田さん。定年退職後、オーストラリアに語学留学するなど、アクティブに活動しています。

外国の人と接する場を設けることで、
相互理解を図り、
トラブルを避けることができれば。
ホームステイ・イン津実行委員会 会長
植田賢一さんに聞く




世界中の人々を受け入れて20年


……ホームステイ・イン津実行委員会(以下、ホームステイ・イン津と略)はいつ設立されたのですか?
1989年です。この年は津市市政100周年で、その記念事業として国際フェアが開催されました。その時に、来日された外国人の方を受け入れるホームステイの呼びかけが津市からありました。それに応じた市民有志で、設立されました。
……活動内容は?
三重大学を中心に、県や市の依頼によるホームステイの受け入れ事業を主体に、ワイワイガヤガヤフェスタというイベントを毎年行うなど、国際交流事業等も行っています。会員は約130名。会員はもとより、多くの市民の方々に国際交流に接する場を提供して、国際交流の必要性を理解していただければということを趣旨にして活動しています。
……ホームステイ先はどうやって決めるのですか?
会員の中で受け入れ先になっているのが40家族ぐらいあります。それらと留学生の方とのマッチングを事務局の方で考えます。ゴールデンウィークに名古屋大学の留学生が日本の家庭を体験するというカリキュラムがあり、その受け入れ先もマッチングしました。
……ホームステイを受け入れるのは大変だという印象があるのですが?
お客様ではなく、ファミリーの一員として、気軽に受け入れてくれればいいですよ。特別なことは一切、していただかなくて構いません。受け入れる側が気を遣っていると、長続きしませんから。
……ホストファミリーになるための秘訣などはありますか?
最初に必要最低限の家のルールを教えなくてはいけませんね。例えば「出かける時は声を掛ける」とか。それ以外は自由にしてくれていいと教えます。日本人の感覚で「言わなくてもわかるだろう」というのではなく、最初にきちんとすることが長続きの秘訣です。
……受け入れの研修はありますか?
特別に研修はありませんが、受け入れの際に説明会を行いますので、そこでお話しします。
……お話しを聞くと、それならできそうだと思えますね。
受け入れた方に感想を聞くと、ほとんどの方が「外国の人と接して、他国のことがわかって良かった」「また、やりたい」とおっしゃってます。
……ホームステイされるのは、どの国の方が多いですか?
中国、韓国、タイなど、東南アジア系が多いです。もちろん、欧米の方もいます。20年間で40ヶ国以上、のべにすると600人以上が、ホームステイしたのではないかな。
……国民性の違いで難しいこともあるのでは?
宗教上の問題で食べられる物が制限されていると、少し気を付けなくてはいけません。
……ホームステイ・イン津が設立された頃と今とでは、国際交流の状況が劇的に変化していると思いますが?
在住外国人が増えましたね。それによって文化や習慣の違いで、トラブルになることもあります。ホームステイの場合もそうですが、日本人と外国の方とでは文化が違うのだから、考え方も違います。その立場の違いによって相手が理解できず、「だから外国人は困る…」と感じる人も多いのではないでしょうか。例えば、以前三重県に留学していたブータン人が津を訪れることになり、彼がメールしてきた予定表を見て、ステイ先に連絡をしたところ「何も話を聞いていない」という返事が返ってきました。それで私がブータンの彼に「きちんと確認しなさい」と返信したところ、彼は「理解できない」と言うのです。彼が言うには「僕がブータンに帰る時に、みんないつでも遊びにおいで。泊まっていいからと言ったのに、なぜ断るのか」と。日本人からすれば、「いつでもおいで」という言葉は、社交辞令ですから、言葉通りには受け取りませんよね。その辺の見解の違いを理解しなくてはいけません。ホームステイ・イン津では国際交流活動を行っていますが、会員や市民の方が外国の人と接する場を設けることで、相互理解を図り、トラブルを避けることができればいいと考えています。
……どのような交流活動があるのですか?
在住外国人を中心に企画するワイワイガヤガヤフェスタを年1回開催するほか、料理教室や交流会を行っています。今年は3月25日に交流会を行ったのですが、三重大学の留学生や在留外国人も集まって、いろいろ話し合いました。
在留外国人の方にお国自慢の料理を教えてもらう料理教室。 各国の音楽やダンスなどを楽しむワイワイガヤガヤフェスタ。

60歳の手習い!?半年間、語学留学へ

……植田さんが国際交流に興味を持ったきっかけは?
20年ほど前ですが、高校生だった次女が派遣留学生としてオーストラリアのパースに留学し、一年間ホームステイしました。戻ってきた時に「ホームステイ先のホストファミリーにすごく親切にしてもらった」と感激していまして、帰国してからホームステイ・イン津の通訳のようなことを少しお手伝いしていました。私としても、娘が受けた恩をお返ししたいなと思い、ホームステイin津に入会しました。それが1990年のことです。
……娘さんが留学を志すということは、元々、植田家は国際交流への関心が高かったのですか?
そうでもないですね。娘が留学してからです。オーストラリアのホストファミリーとは、今でも家族ぐるみのつきあいをしていて時々パースへ遊びにも行きますし、こちらに遊びに来ることもあります。実は会社を定年退職した60歳の時に一念発起して、私も半年間、語学留学しました。その時も、この方たちの家庭にホームステイしたのです。
……語学留学前の英語力は?
最初はカタコトでしたね。半年間の留学で、一人で旅行しても不安がない程度になりました。細かなニュアンスはわかりませんが、日常会話ならまずまずわかります。留学したての頃はホストファミリーが話をしていても、話題すらわからなくて、先方が気を利かして「今は、こんな話をしています」と教えてくれました。それが半年ぐらい経つと、話している単語がわかるようになるので、それをつなぎ合わせれば、だいたいの話の流れがわかるようになりました。
……留学の不安は?
娘から話しも聞いていましたし、ホストファミリーもよく知っていましたから、全然不安はありませんでした。外国でホームステイというと、いろいろ心配されると思いますけど、ホストファミリーは大事にしてくれますし、学校へ入ればすぐにクラスメイトができます。きちんと英会話ができなくても、カタコト英語と身振りで通じます。そうやって話しかけているうちに、相手も話してくれるようになりますしね。治安の面でも、オーストラリアは日本とそんなに変わりません。体格的にも北欧の人に比べて、身長は低めなので、威圧感も感じませんでした。
……語学学校での生活は?
もの凄くモテました(笑)。1クラス8名くらいですが、ドイツ、スイス、イタリア、韓国と出身国はいろいろ。でも、年齢は18〜30歳ぐらいの人が多いので、私は目立ちましたからね。なかでもスイスで看護師をしていた女の子は、教室は自由席なのに、いつも私の横に座ってましたよ。
……授業は難しかったですか?
授業で使えるのは英語だけです。英語で、英語の勉強をするので、最初は戸惑いましたね。分からないことがあればすぐに辞書をひいたり、質問するしかありません。でも、学校側は親切ですよ。私より数ヶ月遅れて、日本から来た男の子がいたのですが、「ほとんど英語がしゃべれないからサポートしてやってくれ」と言われました。それで授業内容を日本語で説明していたのですが、そのうちに「これでは上達しないから」と、学校の先生と彼とでマンツーマン授業をすることになりましたね。
……どんな授業をするのですか?
宿題のほかに、毎日、日誌を書いて提出しました。その内容を授業で隣の人に話し、それを次々に送っていく伝言ゲームのようなこともしました。最後には内容が全然変わってました(笑)。ヒアリングの勉強になりますね。
……ヒアリングと話すこと。どちらが難しかったですか?
ヒアリングですね。話すのは自分で考えて話せばいいですから。あと、あまり文法を気にしていると話せないです。
……留学しても日本人だけで固まってしまって、あまり語学が上達しないという話もありますが?
私の通っていた学校にも日本人が10名ほどいましたが、私はあまり彼らと話しませんでした。せっかく海外に来たのですから、できる限り、他の国の方とコミュニケーションを取りたいと思っていましたから。
……ホームステイ先での生活は?
ステイ先の夫妻はお勤めされていますから、私が一番遅く家を出て、一番早く帰ってくる。朝食を自分で取って、学校へ行き、戻ってきて夕飯の支度をして、三人で食べる。そんな生活でした。
……食事は植田さんが作られていたのですか?
ほとんど、ご主人が作ってくれましたね。日本料理が食べたい時に、私がオリエンタルフードの店で材料を買って、寿司や煮魚を作ったりしました。オーストラリアでは魚の調理法は焼くか、ボイルするか。煮魚は非常に好まれましたね。
……半年間、人の家に住むのは気を遣うのでは?
冷蔵庫も勝手に開けるし、気を遣ったりはしなかったですね(笑)。
……留学にしても、ホームステイ・イン津の活動にしても、外国の方と親しく接することで、世界中に友だちができますね。
今は電子メールがありますから、非常に便利になりましたね。15年前に預かったスウェーデンの子はクリスマス時など、今でもメールを送ってくれます。留学先で仲良くなったスイスの子もよくメールをくれますね。

ホームステイ・イン津実行委員会
514-0003 津市桜橋2丁目85
Tel.059-262-3480

植田賢一さんはこの人を紹介します。
大野木博久さん
ハンディを持つ人と一緒にディンギー(小型ヨット)を楽しむNPO法人海の達人の代表者です。
おねがい
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