平成20年3月25日発行 通巻112号
NPOリレーインタビュー
がんばれネットワーク
三重県NPO室が発行する市民活動・ボランティアニュース2008年4月号掲載の伊藤弘道(いとう・こうどう)さんのインタビューです。
三重県内の市民活動団体の人をリレーで紹介していきます。但し、紹介するに当たってはルールがあります。1・同じ地域で無いこと。2・同じ活動分野で無いこと。さてどんな人がどんなふうに、つながっているのでしょう。コーラスを通して様々な活動を行っている内藤さんが紹介してくださったのは高校の同窓生。伊藤さんは特技である手品をいかして、施設などを訪問するグループ、さくら会を立ち上げました。

見てもらって、楽しんでもらうことが
喜びだからでしょう。
芸能サークルさくら会 伊藤弘道さんに聞く




踊り全般、歌謡曲、手品…芸能サークルさくら会


……伊藤さんが手品を始めたのは?
会社勤めをしている時に、手品が得意な同僚とコンビになりまして。ある時、彼が「伊藤さん、これできる?」と、指の間で玉をコロッコロと増やしていく手品を見せてくれました。その玉を借りて、試しにやってみたら、一発でできて。それを見た彼が、「手品をする気があるなら、道具の専門店を紹介するよ」と教えてくれました。最初に人前で演じたのは、会社の慰労会です。60人ほどの社員の前で、披露したのですが、意外に受けまして。それから図に乗りました(笑)。以来、退職するまで、年2回ずっと慰労会で披露しました。
……会社以外に披露したのは?
手品に興味を持って1年ぐらい経った時、松阪市でエンドレス会というボランティアグループが発足して、会員を募集していました。勤務先が松阪市でしたので、そこに応募したのが訪問を始めたきっかけです。7〜8年在籍して、月1〜2回、ボランティアに行きました。芸名は一十斉熊の助(いちじゅうさい・くまのすけ)です。
……現在の活動は?
平成16年6月に仲間と三人で、さくら会を立ち上げました。津市内を拠点にしつつ、三重県内各地をボランティアで廻っています。今までに志摩市や大紀町などにも行きました。よほど都合が悪い時以外は、基本的にはお断りしません。
……メンバーは何人ですか?
最初はマジシャン二人と、踊りをされている方一人の計三人で始めたのですが、それぞれが周りに声掛けをして、賛同者が集まってくれました。主力メンバーは9〜10人ですが、フラダンスや大正琴のグループも時々、参加してくれています。普通、施設を訪問する場合には、音楽は音楽、踊りは踊りとひとつの分野のグループが多いのですが、さくら会は「芸能サークル」と名乗っている通り、手品あり、舞踏あり、歌ありと、幅広い芸を一度に楽しんでもらえるようになっています。もちろん、要請があれば、分野を限って訪問することもあります。
……訪問先は?
多いのは老人ホーム。その他、グループホームやデイケア施設、地区の祭りや集まりなどにも呼んでもらえます。変わったところでは、お寺の本堂に3回ほど呼ばれたこともあります。
……訪問先をどうやって探したのですか?
設立当時、高齢者施設をあちこち回って、こちらからお願いしました。その内に「入所者が喜んでいるので、定期的に来て欲しい」と言ってもらえるようになりました。最初は毎月と言われたのですが、それはスケジュールが大変なので、隔月にしてもらいました。隔月で回っている施設が今、3カ所あります。
……今までに何回くらい訪問したのですか?
設立して足かけ4年で、100回を突破しています。一時期は月に5〜6回、訪れていたこともありますが、さすがにメンバーから減らして欲しいという声が出まして、今は月3回くらいに調整しています。その月の予定をみなに伝えて、希望日を調整します。最終的には、7〜8人で訪問しています。
……公演時間は何時間くらいですか?
高齢の方に見ていただく場合、体力的な問題もありますから1時間ぐらいですね。うちのプログラムは多彩ですから、本当はもっと時間が欲しいのですが、見ている方が疲れてしまいますからね。1時間で、手品も、踊りも披露するわけですから、裏方も大変です。専門のスタッフがいるわけではありませんから、司会進行、カメラマン、照明、ビデオまで全て自分たちでやります。時には、衣装を付けたまま裏方仕事をすることもありますよ(笑)。
……機材や衣装などはどうしているのですか?
移動費から何から、すべて自己負担です。音響設備や照明なども、メンバーの持ち物を借りています。そんなに立派な音響ではありませんから、歌手や演奏家には気の毒ですが、我慢してもらっています。衣装も踊りの人などは、大変です。小道具や鬘も必要ですから、かなりの額になると思います。でも、メンバーたちはお小遣いなどを節約しても、ボランティアに行きたいという気持ちを持っています。
……訪問先から交通費などは出ないのですか?
時折、お気遣いいただいて謝礼やお志をいただくこともありますが、こちらから請求することは一切、ありません。いただいた謝礼なども、年数回行う練習会での会場費やソフトドリンク代に使わせてもらっています。
……それでも「行こう」と思うのは、なぜ?
やはり見てもらって、楽しんでもらうことが喜びだからでしょう。私は司会進行も務めることが多いのですが、その時は「みんな一生懸命やりますから、上手だな、良かったなと思ったら、何もいりませんから拍手だけしてください。拍手する元気がなかったら、笑ってください。それだけで嬉しいです」とお話しします。
……訪問先の方も喜んでくれるでしょう。
なかには「待っとったで」と声をかけてくれる人もいるから、嬉しいですね。我々としても発表の場がたくさんできて嬉しいです。それを見て、楽しんでくれたら、もう大満足です。楽しんでもらって、その時間を生き甲斐にしてもらえたらいいなと思っています。
……新メンバーは募集していますか?
うちのメンバーは皆、自分の芸に自信を持っている人ばかりです。踊りの方たちなんて、それぞれの流派の名取だし、師匠級ですから、腕に覚えのある方はぜひ。「芸は何もないけど、参加したい」という方にはぜひ、スタッフをお願いしたいですね。
……さくら会の雰囲気は?
自分たちが楽しむだけではなく、メンバー同士が家族的な会話ができるし、信頼関係ができてきました。会を作って良かったなと思っています。
メンバーとお客様とで記念撮影。

おしゃべりの間に手品を披露!?

……伊藤さんの手品はどんな雰囲気なのですか?
私が出る時には「おしゃべりマジック」というタイトルで出ています。簡単な手品だけど、ユーモアで楽しませるマギー司郎のような感じで、おしゃべりでも楽しませています。開演すぐにおしゃべりが入って、手品の合間も話してますね。時にはお客さんを上げたり、下げたり(笑)。でも、最終的には励まして、明るい気持ちになってもらえるように話すことを心がけています。
……おしゃべりで上げたり、下げたり…。綾小路きみまろみたいですね?
私が手品を始めて20年ですから、綾小路きみまろより、私の方が先だったんじゃないかな(笑)。普通、手品師というのはあまりしゃべらないものです。でも、私は手品を始めた頃から、黙って演じても面白くないなと思っていました。もちろん、黙って見せても面白いくらい、立派な手品ならいいですけどね。手品は人に感心してもらうことが特色ですが、それだけではなく、お客さんを笑わせることもミックスさせたいって。
……月数回も公演があると、内容を考えるのも大変でしょう?
手品の世界では、1回見せたら3年、同じ人には見せるなと言いますが、私は余り変えてません(笑)。もちろん、変える努力はしますけど、2ヶ月に一度、訪問していれば、観客はほとんど同じですからね。それよりも気を付けているのは、おしゃべりの話題探し。今の社会情勢などを交えて、笑いに変えるために、毎日、テレビや新聞を見ながら考えています。お客さんから「今日は、どんな話?」と聞かれますから、幾つか仕込んでおかないとね。
……どんな話題があるのですか?
遊びの話もあれば、政治経済の時もあります。高齢の方が多いですから、年金の話とかね。高齢の方相手の時は、やはり長生きしてもらいたいなという気持ちを込めて、長生きのための秘訣などを話すこともあります。長生きするには笑わないとダメ。運動もしないといけないし、食べる物にも気をつけないといけない。食べ方もそう。鶴亀万年願うなら、つるつる飲まずに、かめよ、かめかめ。鶴亀にあやかろうと思ったら、うどんも、牛乳もよく噛んで食べなさいって言うと、「あんた、ええこと言うなあ」って、お客さんから声が掛かりました(笑)。話しながら、お客さんとやりとりするのです。もちろん、その時の顔ぶれを見て、話題は考えます。どこでも、同じ調子で話すわけにはいきません。
……ご家族の反応は?
手品を始める時に、手ほどきしてくれた同僚が「手品をやるなら、それ以外の趣味は辞めて、その分のお金を掛けなさい。月10万円は使うつもりでやりなさい」と教えてくれたのですが、実際、それぐらい節約しましたね。おかげで、今、手品の道具がいっぱいです。6畳間にいっぱい詰まっているのですが、最近、他の部屋にも進出してきて、妻に怒られています(笑)。
……余り協力的ではない感じですか(笑)
最初は「人に笑われることと、警察にやっかいになることはするなとおばあちゃんに言われたのに、あなたは率先して人に笑われている」と、笑っていました。それがある日、「一度、どんなことをしているのか見てみたい」と言いまして。ちょうど、私一人で公演する機会があったので、一緒に連れていきました。病院のデイサービスの方を対象にしたクリスマスパーティーでしたが、利用者の方にまじって、客席から見てましたよ。「面白い」って、手を叩いて喜んでくれました。それ以来、私の活動を理解してくれるというか、気持ち的には応援してくれるようになりました。経済的、時間的な応援は今もありませんけど(笑)。でも、他に何か悪いことしてくるよりも、マシかなと思ってくれているのだと思います。
手品を披露する伊藤さん。


芸能サークル さくら会
514-0003 津市桜橋2-84-2
Tel.059-227-2835

伊藤弘道さんはこの人を紹介します。
岩根静栄さん
車イスに乗ってダンスを踊る、車イスダンスのサポートなどをされています。
おねがい
市民活動・ボランティアニュースに情報を提供される際、以下のことにご注意ください。
(1)原稿はニュースにそのまま掲載できる状態にして、毎月10日までにお送りください。
(2)送付はE-mailもしくはFaxで。その際、「市民活動・ボランティアニュースへの掲載のお願い」と件名を明記してください。
Fax.059-222-5971 E-mail seiknpo@pref.mie.jp


転載を希望される場合は必ずNPO室に連絡してください。
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