平成19年7月25日発行 通巻104号
NPOリレーインタビュー
がんばれネットワーク
三重県NPO室が発行する市民活動・ボランティアニュース2007年8月号掲載の加藤小映子(かとう・さえこ)さんのインタビューです。
三重県内の市民活動団体の人をリレーで紹介していきます。但し、紹介するに当たってはルールがあります。1・同じ地域で無いこと。2・同じ活動分野で無いこと。さてどんな人がどんなふうに、つながっているのでしょう。自宅を開放した「なのはな文庫」を運営している吉川美智子さんからバトンを受け取るのは、「ぐるぐる」の加藤小映子さん。信頼できる仲間たちと一緒にリサイクル、リユースの情報交換の場を作り、活動しています。

自分の住む所を住みやすくしたい、
自分たちの居場所を作りたい

ぐるぐる代表
加藤小映子さんに聞く



リサイクル情報交換の場を作る


……ぐるぐるの活動を始めたのは?
うちの子どもたちが着られなくなった服などを誰かに譲りたいと考えた時、情報交換の場がないなと思ったのがきっかけです。そこで平成10年7月に、「売ります、買います、譲ります、譲ってください」という情報を掲載する「伝言板ぐるぐる」を旧嬉野町中川の中川公会所に設置させていただきました。「ぐるぐる」という名前は不要品が人から人へぐるぐる回るという意味を込めて夫が名付けました。
……公会所に設置した理由は?
中川公会所は旧嬉野町中川の北・中・南の三区が使用している公会所ですので、たくさんの人に見てもらうために一番いい場所かなと思って。各自治会の会長さんにお話したら、掲示板を作る費用も三区の予算から出してもらえました。掲示板にはカードが備えつけてあり、そこに情報を書き込んでもらって、掲示しましたが、もっとたくさんの人に情報を届けたいと思うようになり、A3用紙に情報を書き込んだ掲示板のダイジェスト版を毎月作り、あちこちに貼らせてもらうことにしました。今はカードの掲示はなく、ダイジェスト版が「伝言板ぐるぐる」という名前になっています。
……掲示場所はどうやって見つけたのですか?
クリーニング屋さんや小児科医院さん、Aコープさんなど、普段からお付き合いのある所にお願いしました。最初は5軒くらいだったのが少しずつクチコミで増えていき、今は津市や旧松阪市の方まで広がって、39ヶ所になりました。「うちにも貼らせて」とありがたいお電話をいただくこともありましたし、なかには「色塗りが大変なら、こちらで塗るよ」とおっしゃってくださった方もありました。
……「伝言板ぐるぐる」は手書き文字の原稿をコピーして、一枚、一枚、色鉛筆などで色を塗っていますね。手間が掛かるでしょう?
確かに手間はかかりますが、私はアナログ人間なので、これをパソコンで作れと言われたら、発行は半年に1回ぐらいになってしまいます(笑)。それに活字で白黒の物より、色鉛筆などで塗ってあったり、イラストや写真がたくさん使ってある方が興味を持ってもらえるかなと思って。色塗りも最初は私一人でしていましたが、今は会員さんが色塗りと配達を手分けしてくれています。毎回、同じ人が配りに行くとお店の人とも顔見知りになって、届けに行くと「待ってたよ」と声をかけてもらえるような、信頼関係ができてきますね。
……色塗りをみんなでするのがいいですね。
色の塗り方にも個性が出ますから、元の原稿は同じでも、まったく違う雰囲気の物が掲示されていますよ。活動を始めた当初は小さかったお子さんが、大きくなって色塗りを手伝ってくれることもあります。会員の子どもたちの成長に合わせて、小学生までを対象にした子ども会員というのも作りました。
……子連れで会議などをしていたのですか?
お母さんというのは一人では家を出にくいものです。ましてやこの活動は仕事でも、学校行事でもありませんからね。気兼ねなく家を出る方法を考えた時に一番良かったのが、子どもや家族と一緒に来ることでした。子どもたちが「ぐるぐるに行くなら、私も行く」という雰囲気になれば、土曜日や日曜日でも出やすくなります。
……高学年になると一緒に来なくなりませんか?
女の子が多かったことと、年1回のフリーマーケットを楽しんでくれていたから大丈夫でしたね。ぐるぐるマーケットは当日も開始前後はスタッフ、始まったら出店者というように、自分のやりたい形で
関われるので、子どもたちも関わりやすかったと思います。あと、クリスマス会や七夕など子どもたちの好きな企画も考えました。
「伝言板ぐるぐる」。
加藤さんの手書き原稿を白黒コピーした物に、会員が色鉛筆などで色をつけています。優しげな紙面に情報が溢れています。

子どももスタッフ!ぐるぐるマーケット

……フリーマーケットは年1回開催ですか?
年1回、去年で8回目を迎えました。第1回はおかの医院さんの駐車場をお借りして、40店ぐらい出店がありました。その後、場所をAコープさんの駐車場や嬉野ふるさと会館前公園などに移して、徐々に参加者の方も増えてきました。
……最初は民間の駐車場を借りていたのですね。
主婦のグループが開いているフリーマーケットですから、行政の方からご理解いただけるまで少し時間がかかりました。でも、NPO室を紹介していただいて、県や環境県民会議さんの後援をいただいたり、活動を続けていく内にご協力いただけるようになりました。
……開催の趣旨は?
リサイクルやリユース、環境問題について関心を持ってもらい、楽しく体験してもらおうというのが趣旨です。また、人々の交流の場として、地域のコミュニケーションづくりにもなればと考えています。この考えに賛同していただいた方だけ出店してもらいたいので、必ず事前説明会を開いてきました。
……問題が起こったことは?
6回目は雨で困りました。雨天順延だったのですが、順延日も絶対に雨という予報で、急遽、ふるさと会館を借りることになりました。会館のご厚意でホールなどの無料スペースを全部開放していただき、助かりました。ただ、雨天開催を決めてから当日まで4日しかなかったので、出店者への連絡やPRが大変で…。それでも、各方面のご協力で「どこかよそで、大きなイベントがあるのかなあ?」と思うくらい、雨の中をたくさんの方が来てくださり、とにかく驚きました。正直言って、私たちは自分たちがやれることをしているだけなので、たくさんの方が楽しみにしてくれるイベントになっていたことが感覚的にわかっていなくて…。と同時に、こんなに大規模になって大丈夫なのかと感じました。それに今回は体力的にも大変でしたから、「次、どうしよう?」とみんなに聞くと、いつもなら前向きな意見がどんどん出てくるのに、この時だけは余り出てきませんでしたね。
……それでも7回目を開いたのは?
「それでもやりたい」という気持ちがみんなから伝わってきましたから。それで、雨天の心配をしなくていいよう、体育館を借りられるようお願いにいきました。スポーツ分野で活動されている現NPO法人うれしのスポーツクラブAFLECの皆さんのご理解、ご協力で無事に体育館を借りることができました。この時もたくさんの方に来ていただいたのですが、嬉しい反面規模が大きくなり、自分たちの手には負えないところまで来ているのも感じました。第8回は昨年の11月に開催しましたが、スタッフの人数や時期、予算的にも開催は難しいと悩みました。そんな時に当時小学6年生だった子どもたちが「私たちがぐるぐるマーケットに参加できるのはこれで最後だから、やめないで」と訴えてきたので、「自分たちでやってみる?」と持ちかけてみたら、「やる!」って。それで第8回はぐるぐるキッズフリーマーケットとして、スタッフも出店者も子どもたちというフリーマーケットを開催しました。
……子どもたちに任せて不安はありませんでしたか?
この時は5・6年生が10人ぐらいと多かったし、第7回の時もスタッフとして動いてくれていたので、任せても大丈夫だなと思いました。ポスターづくりやケーブルテレビでの宣伝も子どもたちが行いました。各小学校へポスターとチラシ配布のお願いに行くのも、その小学校に通っている子どもたちが手伝ってくれましたし、メンバーが一番多い中川小学校の場合は、子どもたちだけで校長先生のところへお願いに行ってくれました。当日スタッフの行動も基本的にはお任せ。自分で判断して、良いと思ったことは実行。報告は事後報告で構いません。会場内には大人のスタッフもいますから、困った時にはすぐに相談に行くようには伝えました。
……事務作業は?
それは私が責任を持って担当しました。ポスターづくりにしても、最初に書いて欲しい内容を箇条書きにして渡して、後は好きなように描いてもらいました。希望者を募ったら11人が手を挙げてくれたので、それぞれ個性的なポスターができましたよ。
おばあちゃんになっても一緒に活動したい
……会員は何人?
ぐるぐるの予定を連絡網でお知らせしているのは38名で、その中で「伝言板ぐるぐる」を担当してくれているのが12名ですね。予定はお知らせするだけで、強制はせず、自発的な参加を待つだけです。やっぱり自分たちで楽しんで、やりたい人だけが参加しないとイベントも面白くないですね。だから出入りも自由、その辺は柔軟です。忙しくなったなら止めてもいいし、休会でもいい。お茶会やランチもしていますから、その時だけ参加される方もいます(笑)。
……加藤さんの役割は?
事務的なことをするのが好きなので、そこは任せてもらっています。その代わり、フリーマーケットの実行スタッフなどは、他の人がばーっと動いてくれます。適材適所というか、役割分担できていますね。信頼できるメンバーが揃ってますし、こういった活動はメンバーを信頼できないとできません。私は「人のために、私がやるのだ」ではなく、「自分にできることが、誰かの役にたっているかもしれない」「みんなに動かしてもらっている、させてもらっている」という謙虚な気持ちを忘れないように活動しています。活動を始めた頃は「ボランティアをしているんだ!」って、すごく意気込んでいたこともありましたけど、その態度や行動が会員さんに迷惑を掛けたことがあって…。
……気持ちが変わったきっかけは?
悩みを聞いてくれた会員さんが「私たちはやらされているわけじゃない。楽しいから、加藤さんと一緒にやっているんだよ。おばあちゃんになっても一緒に活動していたいよね」と話してくれて、目からウロコが落ちました。私、堅物なので「ボランティアグループは、こうあらねばならない」という期待やイメージに応えようと頑張って、それが強迫観念のようにもなって、自分の考えを狭くしていたみたいです。彼女たちのおかげで、肩の力が取れて、「ずっとこの会員さんたちと一緒に、自分たちのやりたいこと、やれることを楽しくやっていこう」という気持ちになれて、すっかり気が楽になりました(笑)。
……会員の関係、活動内容。実にゆるやかな雰囲気ですね。
これは笑い話ですが、会員の中には友だちから「あなた、ボランティアしているの?」と聞かれて、「ボランティアなんてしてないよ」と真顔で答えた方がいたと聞きました(笑)。周りから見たらぐるぐるの活動はボランティアだけど、本人は人のためにしているわけでもないし、苦労でもないからボランティアという感覚が無いの(笑)。会員の関係も、子どもたちが小さい時は、子どもを中心とした関わり方でしたけど、徐々に大人が楽しめることをするようになってきました。子どもが巣立って、母親業が終わったり、退職したりした時に地域に自分の居場所がなかったら、すごく寂しいですよね。私たちは今、その居場所を作っているのだと思っています。最初は子育てや環境に力を入れ、フリーマーケットではまちづくりも考えました。そうやっていろいろな事に関わりながら、自分の住む所を住みやすくしたい、自分たちの居場所を作りたいというのがメンバー全員の想いだと感じています。だから、今、柔らかい感じで続けていけるのかな。
……まさに誰もができるボランティアという気がします。
仲のいいお友だち同士が集まれば、どなたにでもできると思いますよ。ただ、続けていくにはちょっと体力がいりますけど(笑)。

ぐるぐる事務局
515-2321 松阪市嬉野中川町1361-1(プラス設計室内)
Tel.0598-42-5363 Fax.0598-42-8388
ホームページ http://www.geocities.jp/den_guruguru/
第1回ぐるぐるマーケットの時から、子どもたちが出店しています。


加藤小映子さんはこの人を紹介します。

多賀輝宏さん
特定非営利活動法人三重補助犬普及協会理事長。自ら視覚にハンディを持ちながら、市民活動の場で活躍されています。
おねがい
市民活動・ボランティアニュースに情報を提供される際、以下のことにご注意ください。
(1)原稿はニュースにそのまま掲載できる状態にして、毎月10日までにお送りください。
(2)送付はE-mailもしくはFaxで。その際、「市民活動・ボランティアニュースへの掲載のお願い」と件名を明記してください。
Fax.059-222-5971 E-mail seiknpo@pref.mie.jp

転載を希望される場合は必ずNPO室に連絡してください。
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