平成19年6月25日発行 通巻103号
NPOリレーインタビュー
がんばれネットワーク
三重県NPO室が発行する市民活動・ボランティアニュース2007年7月号掲載の吉村陽子(よしむら・ようこ)さんのインタビューです。
三重県内の市民活動団体の人をリレーで紹介していきます。但し、紹介するに当たってはルールがあります。1・同じ地域で無いこと。2・同じ活動分野で無いこと。さてどんな人がどんなふうに、つながっているのでしょう。印刷物を朗読し、音訳データにするボランティアである吉村陽子さんが紹介してくださったのは、吉川美智子さん。自宅を親子に開放した「なのはな文庫」を通じて、絵本の読み聞かせや語りなどの活動もしています。
ここは私の宝物ですから、
ぜひ、たくさんの人に見ていただきたくって。
なのはな文庫
吉川美智子さんに聞く
自宅を親子に開放「なのはな文庫」
……ご自宅を開放して子ども文庫にしようと思ったきっかけは?
孫のお守りを生後8週間からしていたのですが、幼い孫に本を読んであげるとすごく喜ぶのです。自分の子育ての時には、本を読み聞かせるという心の余裕がありませんでしたので、孫の子育てで初めて絵本を楽しむということができました。当時、嬉野町には図書館が無かったので、「子ども文庫ができればいいな」とチラッと思い、絵本やストーリーテリングの講座などを受けるようになりました。そんな時に、息子たちが長野県のある絵本屋さんに連れていってくれたのです。そのお店は一室を、お話を語る部屋として利用していて、予約をしておくとお話を聞かせてくれるのです。それを見て、商売はできないけれど、無料で部屋を開放することならできるかもと思いまして、ボツボツと本を買いそろえました。
……吉川さんの子ども文庫、「なのはな文庫」を開いたのは?
7年前の7月26日です。本箱は2段のカラーボックス8個で、部屋の広さも今の半分でしたね。本が300冊集まったのを機に始めましたが、今では1800冊余りに増えました。
……自宅を地域に開放しようと思ったのはなぜでしょう?
子どもが好きだからかな。もっとたくさんの子どもが絵本を楽しんで、一緒に遊べたらいいなと思いました。
……なのはな文庫の活動日は?
毎週水曜日の2時から5時まで開いています。どなたでも来ていただけますし、予約も必要ありません。好きな時間に来てもらえばいいので、中には5時頃に「おばあちゃん、もう終わりだよね」と言いながら、みえる方もあります(笑)。
……吉川さんは「おばあちゃん」と呼ばれているのですか?
文庫の子をはじめ、幼稚園の子も、小学生も、みんな「吉川のおばあちゃん」と呼んでくれます。それがすごく嬉しい。文庫を開いた頃、孫は小学1年生だったのですが、みんなが私を「おばあちゃん」と呼ぶので、「ぼくのおばあちゃんやなあ」って言ったことがありました(笑)。もう中学生になりましたから、時間がありませんが、以前はよく手伝ってくれました。小学校4年生の時には「子供らの喜ぶ笑顔見たいから 文庫始めて4周年」という短歌を夏休みの宿題で作ってくれて。もう嬉しくて、嬉しくて(笑)。今も文庫に飾ってあります。
……活動内容は?
本の貸し出しのほか、紙芝居や読み聞かせも行います。毎月第1、2水曜は3時から、わらべうたや手あそび、語り、絵本の読み聞かせなどを組み合わせたプログラムを行っています。第3水曜はみんなの好きな本を選んでもらって、読み聞かせ。第4水曜は、ミニミニお話会というタイトルでお誕生月の子どもたちのお祝いをします。この日に読む本は、お誕生月の子どもたちのリクエストに応えます。事前に好きな本を聞いておいて、練習をします。あと、私の手作りのプレゼントも贈っています。その他、パネルシアターやエプロンシアターを行うこともあります。もちろん、プログラムの時間以外でも、子どもたちに頼まれれば絵本も読みますし、紙芝居もします。
……活動は水曜日だけですか?
毎月第1土曜日の10時半から「語りのお部屋」を開いています。これは絵本などを見ずに、世界の昔話を語る会です。それと始めたばかりですが、第1月曜に「あかちゃんといっしょに」という会を行っています。これは0〜3才のお子さんがいるお母さんと寄り集まって、絵本を読みあう会です。文庫に来ているお母さんに声をかけたら「やりたい、やりたい」と喜んで、8〜9人集まってくれました。
……子育て中のお母さんたちは、繋がりを求めているのでしょうか?
私はお母さんたちの気持ちを読みとるまではできませんが、少なくともこの文庫に足を運んでくれているお母さんは子育てや読書に興味のある方だと思います。そうでなければ、わざわざ車で出かけてくれたりはしません。
……利用者は近所の方ばかりではないのですか?
自転車で来られる近所の方は1組ぐらいで、あとは久居や三雲。嬉野町内でも少し離れた所から車で来てくれます。それだけ意識が強いから、声を掛けたらすぐに集まってくれるのでしょう。「あかちゃんといっしょに」では小さい子どもの本のことだけでなく、子育ての話などもしていきたいと思っています。
……子どもだけで遊びに来ることはないのですか?
必ず親がついてきますね。対象年齢を決めているわけではないのですが、うちは小さい子が多いです。兄弟がいる家庭なら、生後3ヶ月から来ている子もいますよ。なかには、初めて話した言葉が「おばあちゃん」だった子もいます(笑)。文庫に開放している部屋は畳敷きですから、赤ちゃんは布団を敷いて、寝かせておきます。でも、5ヶ月くらいになると、本を読んでいる人の方を向いてますね。ハイハイを始めたら、本棚の本をバーッと出して(笑)。お母さんは「ああっ!」って慌てますけど、それも成長の道。本棚から出したら、次は本を運んで来ます。「これ読むの?」と聞くと、「うん」って。読みかけると、また別の本を持ってくる。これは成長の過程ですね。
……小学生は来ないのですか?
文庫を開いた当初は小学生に来て欲しいと思い、学校が早く終わる水曜日に設定しましたが、週休2日制になってから、小学生は来てくれなくなりました。土曜日がお休みになって、水曜日以外は遅くまで授業があるでしょう。すると習い事を水曜日の放課後に入れるようです。皆さん、塾や習い事が理由ではないでしょうが、影響している実感はありますね。
……1日に何人くらい訪問されますか?
親子合わせて15〜20人ぐらいですが、好きな時間にバラバラで来ますから。みんなが一斉に集まるのは夏のお楽しみ会と、クリスマス会。いつもはだいたい30人ぐらいで締め切っているのですが、去年のクリスマスは40人集まって、部屋を広げるために本棚を2本廊下に出しました。夏のお楽しみ会は文庫を開いた7月26日前後の水曜日に開いいて、今年は7月25日。参加費は無料です。
助成金申請は、活動を理解してもらう第一歩
……本を選ぶ基準は?
書評などを読んだ後、図書館などで実際に見てから購入するか決めます。去年、助成金をいただいた時には20〜30年読み継がれているロングセラーを選んで購入しました。
……本を選ぶのも楽しいでしょう?
子どもが喜んで借りてくれると「ああ、良かった」って思いますし、自分が良いと思うとお母さんたちに薦めたり、読み聞かせたりします。毎月ごとにテーマを決めて、私が選んだ本を展示したりもしています。今月は「ももたろう」特集。自分の本だけでは足りないので、嬉野図書館や近隣の図書館で借りてきて、展示しています。基本的に借りてきた本は使わないようにしているのですが、読み比べの時は借りないとできませんね。もちろん、これは貸し出ししません。
……お母さんたちから、本選びの相談もあるのでは?
「ももたろう」の前には「一寸法師」を特集しましたが、お母さんから昔話のことを相談されたことがきっかけで、取り上げました。7〜8冊を読み、全ての場面を比較してみました。本を最終的に選ぶのはお母さんですが、その時の参考になればと表にしてみました。
……本の購入費や活動資金はどうしていますか?
年間十数万円、私費で賄っています。文庫を始めた当初は夫が勤めていましたので、本もたくさん買うことができましたが、今は年金生活ですから(笑)。その分、助成金などを申請するようになりました。最初に薦められて申請したのは伊藤忠記念財団さんの子ども文庫助成です。活動を始めて2年目のことでした。伊藤忠記念財団の助成申請条件が活動歴5年以上だったので、申請を諦めていたのですが、財団の方から「桑名市に視察に行きますから、一度、会いましょう」と連絡をいただきました。実際にお会いして、辞退の話をしたところ、「出してみないと、貰えるかどうかはわかりませんから、出してください」とおっしゃられて、それで申請することにしました。その結果、申請した全額は無理でしたけれど、本棚を作る費用を助成していただきました。おかげさまで、しっかりした本棚を大工さんに作ってもらうことができました。角は子どもが触っても危なくないよう丸くしてありますし、棚板の厚さは東京国際子ども図書館の本棚を参考に作ってもらいました。大工さんに「こんなに厚い棚板は必要ない」と言われたのを、「いや、欲しいんだ!」って(笑)ずいぶん、無理をお願いしました。
……「助成申請は難しいし、杓子定規」と言うイメージがありましたが、柔軟な姿勢で素晴らしいですね。
伊藤忠記念財団では申請団体すべての文庫を視察するそうなんです。私、助成をいただけるのも嬉しいのですが、何よりも私の文庫を見てもらいたくて応募したのです。ここは私の宝物ですから、ぜひ、たくさんの人に見ていただきたくって。
……助成されるということは、活動が理解されるということですから。
文庫の活動を少しでも応援してあげようと認めてもらえるのが嬉しい。伊藤忠記念財団以外では、三重県や三重県遊技業福祉連合会のMPドリーム助成金を受けています。MPドリーム助成金では、活動発表の場もいただきました。助成金をいただいて、文庫の本が充実すれば、子どもたちにとっても本の選択肢が増えるということです。それに本の購入や本棚に助成をいただければ、その分、私費を子どもたちへのプレゼント代やイベントの準備費用に回せるでしょう。プレゼントは全て私の手作りですが、材料費は必要ですからね。
……読み聞かせやストーリーテリングは勉強したのですか?
文庫を開く前に市民講座や津市立図書館の講座を受けました。今は、児童文学研究センターの通信教育を受けています。ビデオを月に2本見て、レポートを出さなくてはいけないので大変ですが、勉強になるので、覚えたことをお母さんたちに伝えたいと思っていますでも、。勉強会や情報を伝えるだけでは堅苦しいから、そういう話はちょっとだけ。楽しみながら、肝心なことを伝えたいですね。大したことはできませんが、ひと月に一つぐらい、「聞いて良かったわ」という話を持ち帰ってもらえたらなって。
……活動が活発ですから、忙しいでしょう?
文庫のお母さんたちと作ったおはなしグループ「わたぼうし」のメンバーの一人として嬉野町内の小学校の朝の読書の時間に行っていますし、保育所や幼稚園でも読み聞かせをしています。昼間は座って仕事をする時間がありませんから、プレゼントや文庫便りづくり、通信教育のレポート書きは夜です。
……でも、イキイキされてますね。
友だちからも「あんた、仕事するの、嬉しそうやな」って言われますけど、これは仕事じゃなくて、私の好きなことだから(笑)。「凄いね」とも言われますけど、何も凄いことなんてしてません。好きだからしているだけ。好きじゃなければ、できません。
……好きだから長く続けられる…。
「いつまでできるかな?」と考えると怖いので、考えないでおきます(笑)。文庫に来てくれている子どもたちが大きくなって、子どもと来てくれるといいですけど、ちょっと始めるのが遅かったかな(笑)。
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おばあちゃんの家「なのはな文庫」
住所/松阪市嬉野平生町124-1
Tel.&Fax.0598-42-3674
昨年のクリスマス会の様子です。パネルシアターを演じる吉川さんと、観客の子どもたち。
吉川美智子さんはこの人を紹介します。
加藤小映子さん
楽しみながらリサイクルやリユースについて考えるボランティアグループ「ぐるぐる」の代表です。
おねがい
市民活動・ボランティアニュースに情報を提供される際、以下のことにご注意ください。
(1)原稿はニュースにそのまま掲載できる状態にして、
毎月10日
までにお送りください。
(2)送付はE-mailもしくはFaxで。その際、「市民活動・ボランティアニュースへの掲載のお願い」と件名を明記してください。
Fax.059-222-5971 E-mail seiknpo@pref.mie.jp
転載を希望される場合は必ずNPO室に連絡してください。
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