平成19年3月25日発行 通巻100号
NPOリレーインタビュー
がんばれネットワーク
三重県NPO室が発行する市民活動・ボランティアニュース2007年4月号掲載のデザインオフィス萩野(はぎの)のインタビューです。
今回は市民活動・ボランティアニュース100号を記念し、「市民活動・ボランティアニュース」の企画編集を請け負っているデザインオフィス萩野の代表、萩野茂樹さんとスタッフの出口聡子さんを、NPO室の堀木がインタビューしました。
いつもはインタビューする側である二人に逆インタビュー!デザインオフィス萩野が「市民活動・ボランティアニュース」を編集するにおいて心がけていることとは…?
自分は市民活動をしていないと思っている人に、
「あなたの活動も別の角度から見ると市民活動だよ」と、
わかってもらうことも使命だと思います。
デザインオフィス萩野に聞く


NPO室ができた時から…

……萩野さんが、NPO室と知り合ったきっかけは?
【萩野】97年4月にNPO室ができた時、当時の室長だった出丸さんと職員の森西さんが僕の所に挨拶に見えました。「今日、NPOというよくわからない言葉を聞いて、その仕事の担当になりました」と、出丸さんがおっしゃっていたのをよく覚えています。
……なぜ、萩野さんを訪れたのですか?
【萩野】津市でボランティア活動をしているということで、紹介されたそうです。ですから、デザインオフィス萩野の仕事として「市民活動・ボランティアニュース」(以下、ニュースと略)に関わる前から、NPO室のことは知っていました。
……ボランティア活動はいつから?
【萩野】28歳ぐらいの時に、「津市福祉マップ」という冊子を作っていたプラスワン(当時は津市福祉マップを作る会)というグループに関わったのが最初です。メンバーの中にはハンディを持っている人もたくさんいて、自分たちの手で、ハンディを持った人に必要な地図を作ろうとしていました。メンバーが印刷に出す原稿の作り方を知らなかったので、専門家に話を聞きたいということで、僕が呼ばれました。デザイナーという立場で関わったのですが、同年代の人とワイワイとプライベートなつきあいをしているうちに、いつの間にか僕もメンバーに加わってました。
……デザイナーとして、意見を出したことは?
【萩野】集めた情報を原稿用紙に書き直すことから、指導しました。例えば、脳性マヒのメンバーは手がふるえてしまうので、できるだけ読みやすい字の大きさとかも考えました。今で言うユニバーサルデザインですね。「津市福祉マップ」が完成した時は、メンバーがすごく喜んでくれて、それを見て、デザイナーとして、印刷物が、社会的にも役立つことに対して感動しました。
……スタッフの出口さんは市民活動はされていないのですか?
【出口】古い邦画や子どもを対象とした映画の上映活動をしています。

市民活動・ボランティアニュースを作る

……創刊号から、毎年行われる企画コンペで評価を得て、ニュースの企画編集を担当していますが、まず、どのような情報を掲載しようと考えましたか?
【萩野】NPO法人の設立を担当している部署だからと言って、NPO法人の情報オンリーにするのは止めようと思いました。「市民活動ニュース」というタイトルを、2003年5月号から「市民活動・ボランティアニュース」に変更したのも、その想いがあったからです。
……市民活動にボランティアが含まれていないのはおかしい?
【萩野】おかしいと言うより、そうあるべきだと。自治会や民生委員、消防団、そして当事者団体。僕は最初のボランティア体験で、ハンディのある人自身が積極的にボランティアをしていたのを見ているので、ハンディがあるから、ボランティアされる側とは考えません。障害はその人が持っている属性の一つでしかないからです。でも、これらの団体には市民活動の一角を担っている意識がないことがある。僕は市民活動という言葉の意味をできるだけ広げて、情報発信することこそが、このニュースの意義だと考えています。
……そのことを強く感じる時は?
【萩野】特にインタビューに行った時ですね。前回登場の石崎さんも「私は落語をやっているだけですよ」とおっしゃってましたがお話を聞いて、「それは市民活動ですよ」と僕が言うと気づくことがある。そこがインタビューの醍醐味、張り合いでもありますね。自分は市民活動をしていないと思っている人に、「あなたの活動も別の角度から見ると市民活動だよ」と、わかってもらうことも使命だと思います。
……それを知らせるために工夫している点は?
【萩野】できるだけ、初心者向けに作ること。「NPOなんて、関係ない」と思う方に、噛んで含めるように伝えなくてはいけません。
……読者から「もっとイラストや写真を入れて欲しい」「字を大きくして欲しい」と言う要望もあるのですが?
【萩野】創刊号は今よりも情報量が少なくて、その分、文字も大きかったし、余白も多かった。段々、情報が増えていくに伴って文字も小さくなって(笑)。その辺は僕たちもジレンマ。イラストや写真もふんだんに入れたいのですが、どうしても情報を優先してしまいます。
……情報量を左右するのは、レイアウトですね。
【出口】限られたスペース、決められた文字の大きさで、できるだけたくさんの情報を入れようと思うと、饒舌な文章を削らざるを得ません。想いがあって、長い文を書いてくださる方には申し訳ないのですが、ある程度文章量を減らさないと、他の情報が入れられません。
【萩野】でも、文章を削る時でも、そのグループの思い入れは残して、無味乾燥にならないよう気をつけています。イベントなどを通じて、その団体が市民活動にかける熱意がどこかに残っていないと。
……締切を過ぎてから、原稿が届くこともありますよね。
【萩野】行政が発行している他の印刷物などに比べれば、かなり締切も遅めに設定してますけどね。追加原稿が来た時にまず削るのが、イラストや写真。ギリギリに来た原稿でも、それを持ってきた人の気持ちがわかるので「締切すぎてます」と、機械的に切れませんね。でもやっぱり、締切は守ってくださいね!
【出口】市民活動をしているとPR方法に困るのは骨身にしみてます。自分たちの活動を掲載してもらうこともありますし(笑)。
……それは情報提供者の立場がわかるということでもありますね。
【萩野】だからと言って、野放図に原稿を詰め込んでいいわけでもありません。印刷に掛かる時間も、発行日も決まっていますか。
……編集には何日ぐらいかかるのですか?
【萩野】何日とは言えませんが、締切寸前は連続した作業になります。最後にNPO室で担当の堀木さんと、原稿の読み合わせ校正をしますが、終わり次第、印刷屋さんに渡すという綱渡りです。しかも、校正をしている間に、事務所では出口がまだ作業をしていたりもする。30分の差で発行日に間に合わなくなるほどシビアです。
……作業性を考えると原稿はメールやデータの方がいいのですね。手書きの原稿をワープロで打ち直すのは大変でしょう?
【萩野】パソコンができないからといって、そのグループの内容がダメなわけじゃありません。丁寧に書いた物を送っていただくのも大事な情報発信です。逆に印刷物になってしまうと、手書きならわかる思い入れみたいなモノが伝えられなくて寂しいですね。ちょっとツライのはワープロ原稿がFAXで来た時。データ送ってって(笑)。
……寄せられる情報を見て、感じることはありませんか?
【出口】時々、問いあわせ先や重要な情報が抜けていたりすることがあります。チラシなどを作る時には、グループの活動内容を知らない第三者に見てもらうと、必要な情報が揃っているか、確認できますよ。あと、文章などでも、もう少し違う表現をすれば、もっとたくさんの人に「やりたいこと」を訴えられるチラシが作れるのに…と感じることもあります。もちろん、広報が上手なグループもたくさんあります。
【萩野】思い入れのありすぎる言葉は、案外、他人には伝わらないものです。情報発信には、誰にでも伝わる言葉を使わないと。
……情報が抜けている時はどうするのですか?
【萩野】どうしても必要な情報の時はうちか、NPO室から連絡します。最終チェックの時に見つかって、その場から慌てて、携帯電話をかけることもあります。
……バリアフリーもニュースの特徴ですね。SPコード、テープ版…。
【萩野】文字だけの電子メール版もありますし、いくつかのメーリングリストにも情報を送っています。インタビューで知り合った方に紹介していただいて、視覚障害の方がたくさん参加されているメーリングリストにも情報を送っているのですが、すぐに反応がありますね。視覚障害の方に聞くと、視覚障害の人向けの三重県内のローカル情報は少ないそうです。特にインタビューのコーナーを楽しみにされているようです。
……テープ版の作成はどのように?
【萩野】視覚障害者グループの「こもれびフレンド」さんに、朗読者やテープの作成、点字図書館などへの配布を手配してもらっています。うちからは朗読者の方にメールでニュースを送っています。
……SPコードを取り入れるのも早かったですね。
【萩野】SPコードを開発した廣済堂の担当者によると、月刊紙にSPコードが入っているのは、全国でも珍しいそうですよ。
……コーナーは、どうやって決めているのですか?
【萩野】読者に求められているものを考えているうちに増えていきました。最初から絶対に掲載したかったのは助成金情報です。
……助成金の情報はどうやって集めたのですか?
【出口】最初は助成財団センターが発行している冊子から探しました。当時、ニュース担当だった長崎さんが市民活動に関係のありそうな団体をピックアップして、こちらで全てに電話をしました。
……今も一つひとつ連絡をするのですか?
【出口】団体が公募発表する時期がだいたいわかってきたので、それらをリスト化して、ニュース掲載に一番良い時期に電話をしています。お馴染みの担当者さんとは「はい、どうぞ」という感じなのですが、担当者さんが変わってしまうと、毎回ニュースの説明を一からしなくてはいけないのが、ちょっと大変ですね。ただ、創刊当時はFAXか郵送でしか公募内容をいただけなかったのですが、今はたいていの団体がホームページを持っているので、「そこから情報を取ってください」と言われることが増えました。
……「みえのCSR」の紹介企業はどう探すのですか?
【萩野】会議の時に隣に座った人に話すとか…。ただ、社会の流れとしてCSRが企業に認識されてきていますから、依頼すると「それはありがたい」とおっしゃってもらえます。でも、CSRという言葉が徐々に認識されているのは三重県を代表する大企業ばかりで、なかなか紹介企業を探すのは難しいです。CSRという言葉より前に、「地域企業なのだから、地域に恩返ししよう」という意識があり、全社員でボランティアをしているという企業もあると思います。「それなら、やっている」と言う企業はぜひ、ご連絡ください。
……編集していて面白いコーナーは?
【萩野】やはりインタビューです。新しい出会いが次々にありますし、その度に教えられることが多いです。お話しのなかにボランティア精神の原点のようなものを感じます。NPO室職員の方もそうだと思いますが、僕も会議専門のボランティアになりがち。やはり、現場で、人のふれあいの中で活動していくことが原点だなあと思います。
……話を聞く秘訣などありますか?
【萩野】事前に準備もしますが、話していて「面白そう」と感じた所を突っ込んで聞きます。遠慮がちな方は「私の活動は大したことない」とおっしゃりますけど、突っ込んで聞いていくと、実は「大したこと」ある。会話することで、自分の活動に対して自信を持たれる方もいます。あと、写真の撮り方もちょっと工夫しています。よそいきではない普段の姿を撮りたいので、だいたいインタビューの最後に、話ながら撮影をしています。話がノッてくると、いい顔をされますね。
……ニュースを作っていて、嬉しかったことは?
【萩野】最近では、2007年1月号のインタビューに登場した澤さんが大変喜ばれて、50部ほどお友だちに配られたそうです。それを聞いて「僕らが作っている物は、そんなに値打ちのある物なのか」と再認識しました。印刷物に掲載されることが、ご本人にとってどんなに素晴らしい事なのか。その気持ちを大切にしないといけませんね。
……最後に今後の展開を聞かせてください。
【萩野】ユニバーサルデザインの面から言えば、確かにもう少し紙面に余裕が欲しいですね。情報量は減らせませんから、ページを増やしてもらうしかないかな(笑)。あとはこのニュースの存在、利用法をもっと広めたいですね。行政でも部署にこだわるのではなく、市民活動に関係する情報を横断的に掲載したいですし、市や町の持っている情報がもっと出てくるといいですね。利用する市民の側から見れば、ニュースが県から出ていても、市から出ていても関係はない。そういう境界線を無くしたいです。

おねがい
市民活動・ボランティアニュースに情報を提供される際、以下のことにご注意ください。
(1)原稿はニュースにそのまま掲載できる状態にして、毎月10日までにお送りください。
(2)送付はE-mailもしくはFaxで。その際、「市民活動・ボランティアニュースへの掲載のお願い」と件名を明記してください。
Fax.059-222-5971 E-mail seiknpo@pref.mie.jp

転載を希望される場合は必ずNPO室に連絡してください。
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