平成18年12月25日発行 通巻97号
NPOリレーインタビュー
がんばれネットワーク
三重県NPO室が発行する市民活動・ボランティアニュース2007年1月号掲載の澤 孝予(さわ・たかよ)さんのインタビューです。
三重県内の市民活動団体の人をリレーで紹介していきます。但し、紹介するに当たってはルールがあります。1・同じ地域で無いこと。2・同じ活動分野で無いこと。さてどんな人がどんなふうに、つながっているのでしょう。休日ごとに山仕事を楽しむ森林ボランティアの鬼頭さんからバトンが渡ったのは津市にお住まいの澤 孝予さん。「みえ生と死を考える市民の会」や模擬患者の会、病院ボランティアなど「命」に関する分野で活動されています。
自分が元気でボランティアの場に
寄せてもらえることが、
ありがたいと思います。
澤 孝予さんに聞く
福祉施設で働く若者の姿に感銘
……一番最初に参加したボランティアは?
福祉ボランティアグループの福寿草に入って、10年ほど活動しました。このグループはメンバーがみな高齢になってきたため、今は解散していますが、津市の特別養護老人ホーム報徳園での入浴介助や、高齢者の家を二人組で訪ねてお話相手などをしていました。
……10年もの長い間、活動を続けてきた理由は?
今から15〜6年前。平成3年頃から報徳園へボランティアに行くようになったのですが、そこで出会った若いスタッフさんたちの様子に驚いたことです。学校を出たばかりの若い子たちがお年寄りを相手に優しい言葉をかけて、ニコニコ笑いながら接している姿を見て、涙がポロポロ出てきました。私にも子どもがいますし、世間一般では「今の子どもたちは…」と言われているにも関わらず、こんなに一生懸命、お年寄りに接することができる若者がいるんだと思ったら、その日からしばらく食事ができなくなるほど感銘を受けました。
……人生の中で一番のショックでしたか?
私にとってはそうでした。新聞やニュースなどを読んで、献身的な人たちがいるということはわかっていましたが、現実にその方たちに会って、表情や動きを見てすごくショックを受けましたね。そして、私も「自分ができることは何でもやろう」と思いました。それで福寿草の活動と平行して、三重大学医学部附属病院(以下、三重大病院と略)の病院ボランティアに参加しました。最初は市民ボランティアだけで60人ぐらいいましたが、その時のメンバーで今も残っているのは二人だけ。全体で5〜6人にまで減ってしまいました。
……澤さんは病院ボランティアは何年参加しているのですか?
毎週月曜日、10時から2時間。これがもう10年になります。
……活動の内容は?
最初の頃は病棟から連絡を受けて、入院患者さんの車椅子を押したり、精神科のリハビリとしてレザークラフトのお手伝いなどもさせてもらいました。今は人が少ないのでメンバー全員、月曜と木曜の受付を担当しています。本当は月〜金曜の各曜日を一人ずつで担当できればいいのですが、新しく入られた方が多いので。最初から一人では心細いでしょう?具体的には来院された方を案内したり、申込書を書くお手伝いをしたりします。高齢の方や外国人の方には「私の方が書き込むことは慣れていますから」と声をかけ、代筆することもあります。特に外国の方はお話はできても、文字は書けない方が多いですね。
……三重大病院は広いですから、案内があると助かります。
病院に来られる人というのは大抵、慌ててますし、高齢の方が多いので天井近くにある掲示などは見落とすことが多いようです。ですから困っていそうな方を見つけて、こちらから「どうしましたか?」と声をかけています。
……病院内のことを隅々まで知る必要がありそうですが…。
わからないことは「ほかの方にお聞きください」とか、「○○のナースステーションで聞いてください」と、行き方を案内するだけでも構いません。来院者の手足になって、ちょっと動けるという程度でいいと思います。
……人とのふれあいもあるし、やりがいがありそうですね。
案内をした方が翌週、病院に来られた時に「この前はありがとう」と声を掛けてくれたり、「助かったわ」と喜んでくれたりすると嬉しいですね。ボランティアにとって自己満足は良くないことらしいですけど、「今日も喜んでくれた方がいるわ」と思うと私も嬉しくなりますね。
……病院ですから難しいこともあるのでは?
難しいというか、入院の荷物を持っている方にはちょっと声がかけにくいですね。逆に退院の荷物を持っている方を見ると、こちらまで嬉しくなります(笑)。「今日、退院です」と聞くと、今日は良いことを聞いたなという気持ちにもなりますね。
……もう少しボランティアの人数が増えるといいですね。
人が増えたら以前、ボランティアで行っていた図書の貸し出しを再開させたいですし、受付も毎日、ボランティアがいるようになるといいですね。病院ボランティアはいつも同じ人を相手にしているわけではなく、お相手が変わりますのでちょっと難しいところもありますが、どなたでもできるボランティアです。一週間のうちの数時間、手を貸していただけたらと思います。
「命」に関わるボランティア
……他にはどんなボランティアをされていますか?
「みえ生と死を考える市民の会」の運営委員会と「模擬患者の会」に参加しています。「みえ生と死を考える市民の会」は、病院ボランティアをしていたことから知人に誘われました。最初はお医者さんや看護師さんなどの医療関係者が中心となっていました。そこに市民が参加することで、今のカタチになりました。運営委員会ではお医者さんなど専門家のお話を聞くのですが、最初の2〜3年は何を話しているのか、まったくわかりませんでした。参加してから9年目を迎えた今、ようやく話についていけるかなというところです。緩和ケアのことや終末医療のこと。自分がどのように生きて、死んでいくのか。勉強させてもらって、ボランティアすることによって、自分を変えてもらっているのだなと感じています。
……活動は主に勉強会ですか?
年に1回、聖路加国際病院名誉院長で、著書『生き方上手』でも知られる日野原重明先生など、著名な方を招いて講演会を行っています。このほか年2〜3回の勉強会と1〜2回の施設見学を行っています。これらは以前、医療関係者の方々が中心に企画していたのですが、昨年から市民中心の実行委員会を作って準備しています。私も天井から吊す大きな看板などを書かせてもらっています。
……書道がお得意なのですか?
専門家にお願いするとお礼が必要でしょう?他に大きな字を書く人がいなかったものですから、引き受けました。昔から字を書くのは好きでしたが、きちんと習ったり、賞に応募したことはありません。ようやく最近、書道を習い始めたぐらいです(笑)。習い始めてからは、ちょっと字の質が変わってきましたね。この看板作りと生け花が、私の担当(笑)。他の団体から頼まれたこともありますが、頼まれるのは元気なうちだけですから、書かせてもらっています。
……「模擬患者の会」はどんな活動をするのですか?
三重大学医学部の学生さんの医療面接の試験の時に、患者役を担当します。この会にはスタート時から参加して、4年になります。
……どんな風に患者役を演じるのですか?
まず、先生の方から病気の症状などを書いたシナリオをもらい、その通り話していきます。私たちは患者になりきるのです。学生さんは私たち相手に医療面接を行い、病気の診断をするのです。試験の評価は先生が行いますが、私たちも患者としてどう感じたかをフィードバックします。あまり難しいことは言えませんが、「もっと優しく、共感して欲しい」とか、「丁寧に話を聞いて欲しかった」とか、伝えます。卒業までに何回か試験があるのですが、私たちから見ても学生さんはもの凄く上手になっていきますね。学生さんたちが訓練されていくから、今、勤務されているお医者さんたちも変わってこられたように思います。先日は別の病院からも模擬患者を依頼されて、参加してきました。こちらは現役のお医者さんが相手でした。それに次回は受付担当を相手にした模擬患者も実施されるそうで、その時も来て欲しいとお願いされました。あと、年1回程度、県外の研修会にも参加します。そのほか、津市保健センターの母子推進員もしています。
……それはどういう活動なのですか?
赤ちゃんが生まれた家を訪問して、赤ちゃんの様子や問題の有無を確認、報告する活動です。日本人の赤ちゃんの場合は各地区に担当者がいるのですが、外国の方が生まれた赤ちゃんの担当は津市内で二人しかいません。私は津市北部を担当していてます。
……月に何軒ぐらい回るのですか?
私の場合は月に4〜5軒です。白塚団地や豊里ネオポリスの方まで自分の車で走り回っていますが、家を探すのが大変(笑)。
……なぜ、その活動を始めたのですか?
一年ほどイギリスに滞在した時に、周囲の人にすごく良くしてもらったので、日本在住の外国人の方のお手伝いができればと思いました。でも、英会話が得意なわけではないですよ。カタコトの英語ですし、コミュニケーションを取る時は英語と日本語のちゃんぽん(笑)。それでもダメなら絵を描いたり、中国人の方なら漢字を書きながらお話します。
……子育て中は不安も多いですから、頼りにされるのでは?
言葉も通じませんから、もの凄く心細いのです。母子推進員の役割ではないのですが、どこからか連絡先を聞いて、電話をかけてくる方もいます。頼られれば、時間が空いている限り行くようにしています。病院へ行くのに付き添ったり、お産に立ち会ったこともあります。病院で聞いた話を本を読みながら、ゆっくりと説明したり、お産に必要な物を教えたり。お母さんになったつもりで接しています。
……仕事を越えた、プライベートなつきあいですね。
結局、そこに行き着くようです。今では赤ちゃんのグッズをちょっと集めたりもしていますよ。あと、子どもに着物を着せたいという話を聞いたので、家にあった赤ちゃん用の着物を貸して、写真も撮ってあげました。いろんな子どもが同じ着物をきているのだけど、みんな帰る国は違うからいいかな(笑)。
……皆さん喜ばれるでしょう?
ものすごく喜んでもらえるし、スーパーなどでも気軽に声を掛けてくれますね。三重から新潟に転勤した中国人の方は帰国する時に「今から上海に帰ります」と連絡をくれました。お手紙のやりとりが続いている方もいますよ。病院ボランティアをしていても感じるのですが欧米系外国人の方へのサポートはしっかりしていて、病院に来る方も必ず付添の方がいます。でも、アジア圏の方たちを対象としたボランティアは少ないですね。見ていると違うなあって思います。
……お話を聞いている澤さんは「命」に関わる活動を専門にされているのですね。
意図したわけではないのですが、そんなカタチになっていきましたね。どれも声を掛けてもらって、参加するうちに何年も続いているという感じ。私はちょこちょこしたことを頼まれたらお手伝いするだけで、たいしたことはしてません。もっと腰を据えて、大きな活動に取り組めば良いのでしょうが…。
……日々の生活の中で不便を感じている方は多いのですから、澤さんのようなボランティアが増えていかなけばいけないと思います。
私は気持ちのうえでお手伝いをするだけです。病院ボランティアをしている時に、「ボランティアをされているなんて大変ね。でも、あなたは元気だからできるのよ。私のように病気になって、病院に来たらダメよ」と言われました。本当に、自分が元気でボランティアの場に寄せてもらえることが、ありがたいと思います。
講演会終了後、日野原重明先生を囲んで。
澤さんの力作。力強い文字です。お花も澤さんが生けられたものです。s
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病院ボランティア(三重大学医学部附属病院医療サービス課)
Tel.059-231-5293、059-231-5067
みえ生と死を考える市民の会(三重大外医学部看護学科)
Tel.059-231-5230
【澤 孝予さんはこの人を紹介します。】
水谷由実子さん
新日本婦人の会や女性会議などで活躍されています。
おねがい
市民活動・ボランティアニュースに情報を提供される際、以下のことにご注意ください。
(1)原稿はニュースにそのまま掲載できる状態にして、
毎月10日
までにお送りください。
(2)送付はE-mailもしくはFaxで。その際、「市民活動・ボランティアニュースへの掲載のお願い」と件名を明記してください。
Fax.059-222-5971 E-mail seiknpo@pref.mie.jp
転載を希望される場合は必ずNPO室に連絡してください。
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