平成18年7月25日発行 通巻92号
NPOリレーインタビュー
がんばれネットワーク
三重県NPO室が発行する市民活動・ボランティアニュース2006年8月号掲載の浜口素則(はまぐち・もとのり)さんのインタビューです。
三重県内の市民活動団体の人をリレーで紹介していきます。但し、紹介するに当たってはルールがあります。1・同じ地域で無いこと。2・同じ活動分野で無いこと。さてどんな人がどんなふうに、つながっているのでしょう。七栗サナトリウムで10年間病院ボランティアをしている上野恵美子さんが紹介してくれたのは浜口素則さん。ソロで、またバンドで様々な施設や病院を回って音楽ボランティアをしています。
私たちの思いと、
参加者の思いが合致した時には
熱い、感動的なものを感じますね。
HAMAGUCHI-BAND 代表
浜口素則さんに聞く
趣味の音楽がボランティアにつながる
……音楽を通してボランティアを行っているそうですが、どんなジャンルの音楽ですか?
二つのバンドに参加しているのですが、HAMAGUCHI-BANDはフォークソング。もう一つのロンサムラムブラーズはブルーグラス・カントリーのバンド。ボランティア活動はHAMAGUCHI-BANDが中心。
……HAMAGUCHI-BANDを結成したのは?
私は学生時代からフォークソングが好きで、ずっとギターを弾いていたのですが、結婚や子育てなどで一時期、演奏活動を休止。それをもう一度、やってみようと思ったのは高石ともやさんのコンサートを見たのがきっかけです。昔のメンバーに声をかけてバンドを結成したのは平成2年。途中、メンバーの入れ替わりはありましたが、16年間続けてきて、現在は6人のメンバーで活動しています。レパートリーはピーター・ポール&マリーやブラザーズフォー、赤い鳥など、私たちが学生時代に親しんだ音楽です。
……ボランティアを始めたきっかけは?
最初は地域のイベントに、自分たちから応募して参加しました。そのステージを見た高齢者やハンディキャップを持った方たちの施設から声がかかり、訪問コンサートを行うようになりました。一度、施設などでコンサートを行うと、施設同士のネットワークで次々に広がっていきました。「うちでもやってもらえませんか」と話をしてくれることもありますし、直接、他の施設を紹介してくれることもあります。また、音楽活動をしている仲間から紹介してもらうこともあります。「うちは都合が悪いから、浜口さんとこはどう?」とか。全ては人のつながり。それで、ボランティア活動の場も広がっていきますね。最近では小学校での人権コンサートを依頼されました。
……前回、登場された上野さんと知り合ったのも人づてに病院でのボランティアを紹介されたからですか?
七栗サナトリウムの場合は、入院していた友人を見舞ったことがきっかけでした。友人が「ここでも音楽をやってみたら」と言ってくれて、申し入れたところ、「ぜひ、やってください」ということで。それから10年ぐらい続いています。昨年からは三重聖十字病院も訪問しています。
……場所によって曲目は変えているのですか?
コンサートのテーマや、参加者の男女比、年齢、病気やハンディの状態などによって曲・プログラムを構成。事前に主催者から、十分聞いておきます。会場を構成する人々をイメージしながら曲目を考えるのです。リクエストを聞く場合は、名前が出た曲は必ず演奏するようにしています。あらかじめ用意をせずに行って、会場に入ってから、みなさんの顔を見て「しまった!」と思ったこともありますよ(笑)。そんな時でも同年代の人が多ければ、なんとかなるのですが、観客と年齢差のある時、とくに若年の人が多いと困ります。
……どんな曲目がありますか?
「花はどこへ行った」や「悲惨な戦争」などのアメリカンフォークと、「翼を下さい」「この広い野原いっぱい」「白いブランコ」など、日本のフォークソングですが、小学校のコンサートでは子どもたちがよく知っているSMAPの「世界にひとつだけの花」や「Believe」「千と千尋の神かくし」などアニメの曲も歌います。高齢者の施設や病院の場合は、高齢者の方が若い時に歌っていた、昭和初期の歌謡曲を演奏することが多いです。
……新しい曲もレパートリーなのですね。
リクエストもありますし、人から薦められて練習することもあります。コブクロの「ここにしか咲かない花」を主催者から依頼された時は難しくて大変でしたね(笑)。リクエストされても、私たちには早すぎて歌えない曲もありますが、今風の曲でもスローなものや、私たちが歌っても違和感が無い曲はどんどん取り入れるようにしています。
……テーマによる選曲もあるのですか?
人権コンサートの時は「竹田の子守歌」や「千の風になって」。差別と命の大切さについて考えるようにしました。
……子どもたちの様子はどうですか?
子どもたちはハッキリしていますね。自分たちが知っている曲だと凄く盛り上がります。逆に知らない曲だと、となりどうしでつっつきあいや雑談が始まったり(笑)。人権コンサートは去年から始めたばかりですから、毎回反省をしながら、先生方にも意見を伺ったりしながらやっています。ただ、私たちが一生懸命に演奏している姿は子どもたちの目にもきちんと映っているようです。
……高齢者を相手にした時に、音楽療法的なことも行いますか?
七栗サナトリウムで私たちが最初に演奏をさせていただいたのが音楽療法の時間でした。当時の看護師長さんに「私たちは音楽療法のことは何もわかりませんが…」とたずねたところ、「気にせず、普段通りにやってください」と言っていただきました。患者さんには、少しでも今の時間を大切に、気持ちよく過ごしていただきたい。小さい時からなじんできた音楽を聴いたり、歌って、気持ちを若々しく持っていただくことだと思います。音楽療法では回想法と言います。
……患者さんの反応はどうですか?
患者さんの目や表情を見て、感じます。上手くいった時には、雰囲気がなごやかにふんわりするものです。
……お客さんと一緒に歌ったりもするのですか?
基本的に一緒に歌っていただきます。私たちはプロではありませんから、聴かせるというよりも、一緒に歌って楽しんでいただくことを心がけています。時には歌に簡単なフリをつけたり、健康体操的なこともしますよ。
……観客をのせていくのですね。
声を出して、好きな曲を歌うだけでも気分はのってきます。その次は一番簡単に音を出せる方法である手拍子。これでリズム感が出てきます。フリをつければ身体も動くし…。日本レクリエーション協会公認のインストラクターでもありますので、レクリエーション的な要素を入れながらステージを進行しています。レクリエーションの世界ではゲーム、ダンス、ソングは三種の神器と言われています。これを上手く利用して、その場を演出するのは基本的な技術です。原始の時代から祭り事があれば、人が集まって、お酒などを飲んで。そのうちに歌が出て、踊り出す。陶酔の世界に浸って、神々の世界に近づいていくとでもいうのかな。音楽やダンスには人間が本来持っている感覚を呼び起こす面があると思います。
……演奏とは別に、お客さんとふれあう醍醐味もあるのですね。
活動をしていると、時折ジーンと来る時があります。演奏後にアンコールがかかって、余韻が残る。音楽を通じて気持ちが通じ合ったというか。私たちの思いと、参加者の思いが合致した時には熱い、感動的なものを感じますね。終わった後に握手したり、涙目で「また来てね」と言われると、今日のコンサートは良かったなと思います。逆に、あくびや居眠りをされる方がいた時は「今日の選曲間違ったかなあ」って(笑)。そんな時にはスッと引き下がるくらいの気持ちが大事ですね。最近は音楽ボランティアの数も多くなってきましたが、中にはボランティアの場を自分たちの発表の場と勘違いしているようなグループもあるようです。職員の方が「もう時間です」と止めてもやり続けたり、参加者のことを考えていない選曲だったり。そんなグループは二度と声がかからないですよね。音楽ボランティアは何のために行くのか。そこをきちんと考えていかなければいけません。
HAMAGUCHI-BAND
コンサートでは簡単なフリをつけることもあります。
仲間が仲良く活動するための事務作業
……演奏依頼も多いのでは?
春は桜まつり、花見、夏は納涼祭。秋は文化祭。冬はクリスマスなど。施設ではいろいろな行事があります。依頼されたら、できるだけ引き受けるようにしています。
……メンバーの都合が合わないこともあるのでは?
メンバーが参加できない時は、ギター1本だけで演奏することもあります。もちろん、キーボードやベースなどが加わった時とは音の厚みが違いますが…。私たちはアマチュアですし、基本的に強制、押しつけはしません。家の事情や仕事で出られない時は仕方がありませんから。だからといって、一旦、引き受けたことをおろそかにしているわけではありません。ドタキャンなど無責任なことは絶対にしません。工夫しながら小さなこともきちっとやります。平日には、会社のボランティア休暇制度があるのでありがたいです。
……スケジュール管理などは担当者がいるのですか?
マネージャー的な仕事は私がしています。資料づくりなどあまりも苦に思いません。緊急を要する時にはメンバーの自宅まで資料を置きに行くこともあります。面倒そうに思えますが、マネージャーの仕事で一番大事なのは連絡。特にボランティア活動は、気持ちで行うものですから、連絡がうまくいかず「私だけ外されたのかな」なんていう気持ちにさせてはいけません。自分が楽器を練習する時間が減って、歯がゆい思いをする時もありますが、みんながチームワーク良くやっていける方に力を入れるのが大事ですね。
……浜口さんの担当楽器は?
人に聴かせられるのはギターとバンジョー。ベースも弾きます。実はアコーディオンやオカリナなど、弾けない楽器もたくさん持っているのです(笑)。見て、「欲しいな」と思うとつい、衝動買いしてしまって。これらは定年退職後に自由な時間ができたら、練習しようと思っています。
……時間のやり繰りが大変ですね。
時間は皆さんと同じです。だから、できるだけ有効に、無駄な時間を過ごさないようにしています。通勤電車の中でも手帳を見て、予定を組んだり、ステージの構想を練ったりします。人に会ったらすぐに渡せるよう、鞄の中には資料やイベントのチラシなどを入れています。
……休日は演奏活動でつぶれるのでは?
土日のうち、どちらか1日の午前中は家の片づけや掃除、草引きなど、家の仕事をしています。そこはきちっと。
……浜口さんは退職後も退屈などしないでしょうね。
おかげさまで、退屈する心配はないですね(笑)。バンド、合唱、山歩きを楽しんでいます。「何かやりたいなあ」と思えば、すぐに仲間に声がかけられます。普段から多くの人とのネットワーク・コミュニケーションを維持していくことが大事ですね。
……音楽だけでなく、様々な分野で活動しているのですね。
私は「ボランティアに生き甲斐を感じています!」という人間ではなくて、ボランティア活動は私の生活の一部なのです。
●
HAMAGUCHI-BAND
Tel.090-8676-9270
E-mail hama26@wonder.ocn.ne.jp
ロンサム夏のライブ
●とき/8月26日(土)18:30〜20:30
●ところ/神代餅茶屋ギャラリー(伊勢市宇治今在家町65)
●参加費/500円(一品付)
問い合わせは上記と同じ。
【浜口素則さんはこの人を紹介します。】
鈴木愛子さん
聖十字病院でボランティアをしている鈴木さん。詩や絵、陶芸などを患者さんと共に楽しんだり、気持ちを表現したりしています。
おねがい
市民活動・ボランティアニュースに情報を提供される際、以下のことにご注意ください。
(1)原稿はニュースにそのまま掲載できる状態にして、毎月15日までにお送りください。
(2)送付はE-mailもしくはFaxで。その際、「市民活動・ボランティアニュースへの掲載のお願い」と件名を明記してください。
Fax.059-222-5971 E-mail seiknpo@pref.mie.jp
転載を希望される場合は必ずNPO室に連絡してください。
はじめに戻る
2006年8月号のはじめに戻る