平成17年6月25日発行 通巻79号
NPOリレーインタビュー
がんばれネットワーク
三重県NPO室が発行する市民活動・ボランティアニュース2005年7月号掲載の谷口仙二(たにぐち・せんじ)さんのインタビューです。
三重県内の市民活動団体の人をリレーで紹介していきます。但し、紹介するに当たってはルールがあります。1・同じ地域で無いこと。2・同じ活動分野で無いこと。さてどんな人がどんなふうに、つながっているのでしょう。「尾鷲ヒノキ」の良さを伝えるために活動する海山町林業研究会・ものづくり実行委員会の会長、今井さんが紹介してくれたのは鳥羽にあるめだかの学校校長、谷口仙二さん。名刺には夢職(!?)と書かれています。

めだかの学校を
ふれあい、出会いの場にしたいのです。

めだかの学校 校長
谷口仙二さんに聞く


4月19日。飼育の日にめだかの学校開校

……谷口さんが市民活動などに関わるようになったきっかけは?
自分の子どもが小さい時に、鳥羽市の子ども会の会長やボーイスカウトの隊長などをしました。あと、幼稚園から中学校までのPTA会長を務めたり。2年前までは鳥羽市の青少年健全育成市民会議の会長をしていました。今はめだかの学校の校長として、いろいろ活動しています。
……めだかの学校とは?
鳥羽市樋の山の中腹につくったビオトープの広場です。ここは扇野と言われ山本周五郎の小説の舞台にもなった所なんですよ。眼下には鳥羽湾が広がり、山頂近くには金乃比羅宮鳥羽神社があります。
……めだかの学校を作ろうと思ったきっかけは?
平成11年2月、世界中で絶滅のおそれのある野生生物の情報をとりまとめたレッドデータブックにめだかが掲載され、いわゆる絶滅危惧種に指定されました。それをきっかけにめだかの飼育を始めようと思い、めだかの学校の開校日を決めました。
……それはいつですか?
平成12年4月19日です。419で、しいくの日になるでしょう(笑)。この日を目指して、ビオトープと言われる人工でありながら、自然に近い生物のすみかを作りました。
……予定日を決めて、目標にしたというのが具体的ですね。
私の名刺には「夢職(むしょく)」と書いてあります。人に渡す時には「名刺はカラーですが、夢職(無色)です」と言いながら渡します(笑)。この夢職という言葉には、夢を見て、夢を追って、夢を形にして、夢に日付を入れようという意味が込められています。夢は見っぱなしではダメ、日付を入れて、実現しないとね。あと、私は自分の活動にいつもテーマをつけています。めだかの学校の開校と同時に藤の木を1本増えたのですが、これのテーマは「2010年、藤の木の下で」。毎年少しずつ藤は大きくなっていて、5年後の2010年には藤棚も立派になるでしょう。その時が来たら、ここで何かをしたい。その内容は市民の方に考えてもらえればと思っています。
……めだか池の他にもいろいろな施設がありますね。
今はビオトープのめだか池の他、水車が2つに風車、藤棚、足湯などがあります。来られた方に「いいですね」とほめられると、いい気になって(笑)どんどん広げてしまいました。ほめると伸びるのは子どもの教育と同じですね。「風が吹けば、桶屋がもうかる」方式で、一つの言葉から次々に連想して、組み合わせています。
……最初に手がけられたのは?
もちろん、めだか池です。小川を模して作ってあるのですが、ほとんどを私と家族で作りました。他の方にお願いしたのは一度、ブルドーザーを入れた時ぐらいかな。小川の周辺に埋めてある石は川の流れを掘り起こす時に出た石で、私一人で全て並べました。この池ではいかに自然に近づけるかということに挑戦しています。
……周囲に草も生えて、すっかり自然な感じになっていますね。
特に手を入れなくても水辺を作るといろんな植物や生き物が自然に集まってくるのですよ。今はホタルも飛んでいますが、これも最初の2〜3年、平家ボタルを放流したら、後はすっかり住み着いて、何もしなくても飛ぶようになりました。
……めだかの飼育はどうですか?
めだかは小川にもいますが、別の水槽で飼育して、数を増やしてもいますよ。これも妻や孫など、家族が手伝ってくれています。
……めだか池から連想が広がって、次に手がけたのは?
めだかは環境のバロメーターでもありますから、そこから環境をイメージし、クリーンエネルギーに繋がり、水車や風車をつくりました。
……それもすべて谷口さん自身が作られたのですか?
水車は鳥羽商船高等専門学校の学生さんに作ってもらいました。ちょうど国立大学が独立法人化して、「産学官民」の交流が大切だと言っているでしょう?それで鳥羽商船の校長先生に「学と観光を結びませんか」とお話しました。学校側としても市民の方に活動をPRする良い機会ですし、快く引き受けてもらい「プロジェクトYYY」を始動させました。これは「良い子が喜ぶ良い作品」という意味です。第1弾は昔から伝わる伝統的な水車をつくり、その動力を使って広場内の水を循環させ、浄化させるシステムをつくりました。水が竹炭などを通って循環することで水質浄化するだけでなく、小屋内の冷房も兼ねていますし、水の流れが動力に繋がっていることを子どもたちにわかりやすく、目で見えるように木製の人形に繋ぎ、それらが動くよう工夫してあります。鳥羽市にはモーターを作る大きな会社があるのですが、そのモーターは鋳型で作られています。その鋳型の元となる木型を作る木型師さんが、人形はつくってくれました。
水車の力が人形に加わり、人形が動く仕組みです。

……第2弾は?
おでん水車です(笑)。三角、四角、丸が縦に繋がった水車ですが、上がこんにゃく、中がちくわ、下を大根に見立てました。第3弾もいろいろ考えているところです。
……風車は誰が作ったのですか?
これと環境クイズの看板などは昨年、静岡県で開催された浜名湖花博会場で使われていたものをいただきました。私たちの広場の趣旨をご理解いただいて、鳥羽市長さんと商工会議所を通じてお願いし、この広場に置くことになりました。もちろん、これらは公的に使うことという条件がきちんとついています。
……風車の下に小便小僧がいますね。
これは私の遊び心(笑)。風車が回ると水が上がって、小便小僧からセントレア(中部国際空港)に向かって水が出るんです。そんな風にストーリーを作りながら、広げていくのが楽しいんですね。

親子が、市民と観光客がふれあう場
……足湯のアイデアはどこから?
この広場の下に私が経営している旅館があるのですが、そこの温泉を引いてきました。
……めだかの学校は誰でも自由に出入りできるのですか?
もちろんです。私の旅館に泊まられた方は当然ですが、他の旅館に泊まられた方でも、市民の方でも無料で、自由に使ってもらっています。私はめだかの学校をふれあい、出会いの場にしたいのです。一つは親子のふれあいの場です。子どもが「これは何?」と自然を見ながら不思議に思ったことを親に尋ねる。それに親が答える。子どもの成長にはそういったふれあいが必要だと思うからです。もう一つは人情のふれあいの場です。私は観光業に関わっていますから、ここで鳥羽市を訪れる観光客と市民の方がふれあって欲しいと考えています。観光とは美味しいものを食べたり、良い景色を見たりすることも大切ですが、一番大切なのは人情に触れることだと思います。そのためには人に出会わなければならない。めだかの学校は市民の皆さんも、観光客の方も集まる仕組みになっているわけです。私が宿のフロントで「どちらから来られたのですか?」と聞いてみても「なぜ、話さなくてはいけないのか」と思われることもあるかもしれません。でも、ここに来られた方に「どちらから?」と声をかけると、皆さん、住所や家族構成などいろいろお話くださいますよ。それにめだかは誰もが知っている存在ですから、共通の話題になるんですよ。
……谷口さんの宿に宿泊された方は、この広場を作られたのが自分の泊まっている宿の社長さんだとは知らないのですか?
フロントで配っている扇野里山散策絵図にちょこっと書いてあります(笑)。でも、いつも土いじりができる格好でここにいますから、声を掛けても私が社長だとはわからないでしょうね。あと、宿泊の方を対象に夏休みの期間中毎日、折り紙や草木染め、押し花教室などを開いていますが、これらの教室も「参加したい」と申し出ていただけば、どなたでご参加いただけます。
……谷口さんの話が聞きたい時も、お願いすればいいのですか?
もちろん、ご連絡ください。このめだかの学校にも小学校などから遠足に来てもらったりして、いろいろお話もしています。あと、小学校の総合学習の時間の講師として呼ばれて、離島にも行きました。「めだかの自慢話」と銘打ってお話したんですが、子どもたちが感想文を送ってくれたので、それも掲示してあります。
……これだけの設備を整えるには資金も大変だったのでは?
土地は私のものを開放しています。資金も私の給料から出ていますが、結構、かかるんですよ(笑)。
風車の下におでん水車が回る池があります。 小川の中をめだかが泳いでいます。

生きてきた道の延長

……ビオトープのテーマにする生物にめだかを選んだわけは?
やはり子どもの時の思い出でしょうね。私の生まれ育ちは福井県の越前大野で、19歳の時に鳥羽に来ました。小さい時に小川でめだかを追いかけた思い出が、今のカタチとなって展開されているだけでしょう。めだかの学校は自分が生きてきた道の延長上にあるだけで、何も特別なものじゃないんです。
……めだかの学校を広げるには苦労もあったと思いますが?
何も無いですよ。自分の好きなことをやっているだけですから。
……では、今後の予定は?
めだか池にしてもそうですが、作った物は徐々に変わっていきます。私は変わっていくことが大事だと思っているので、これからも徐々に変わって行ければ…。以前、私が青少年健全育成会議の会長をしていた時に、「大人が変われば、子どもが変わる。地域のおじさん、おばさん運動」というのがありました。それを聞いて私は地域のめだかおじさんになろうと思ったのです。それにこのめだかの学校が子どもたちの居場所になり、みんなのふれあいの場になってくれればいいなあって。

めだかの学校
住所/517-0011 鳥羽市鳥羽2丁目12番24号
Tel.0599-25-3151(扇芳閣)


【谷口仙二さんはこの人を紹介します。】
野口あゆみさん

バリアフリー対応の観光情報を、障害者の手による調査で集め、体の不自由な方々が安心してできる旅を提供するとともに、地域のバリアフリー度を向上させることを目的に設立されたNPO、伊勢志摩バリアフリーツアーセンターの局長さんです。

おねがい
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